ちゃっかり者の霧雨さん


「アリスー来てやったぜー」

「呼んで無いわよ…」

同じ魔法の森に住む白黒の魔法使いは今日も遠慮も無く家に上がり込んで来た。

「はぁ…、で、一体今日は何の用?」
口調とは裏腹に嫌がっているという感じは無い。

「とりあえず喉が渇いたな、お茶にしないか?」

「…はいはい、わかったわよ」
いつも通りの会話である。

アリスは読んでいた本に栞を挟むとキッチンへと行った。
テーブルには上海人形が茶器を用意している。

魔理沙は先程までアリスが読んでいた本を取りソファーに体を沈めた。
本を掲げるように寝転がりページをめくる。

「ほう、なかなか興味深いぜ。よし後で借りていこう」

ぺらぺらと読み飛ばしながら先を進めると、

ぱさり・・・

アリスが挟んでいた栞が抜け落ち床に落ちた。

「・・・?ありゃ」

タイミングよくアリスがいい香りのするポットを持って戻って来た。

「また勝手に人の本読んで…大事な所だったんだから栞抜かないでよ?」

「あー…、すでに手遅れだ」
栞をぺらぺらと掲げながら笑ってみた。

それを見たアリスも笑顔になった。
怖い笑顔に…

「あーその…悪気はなかったんだぜ?」

「…いつもいつも何かとやらかしてくれるわね。たまにはお仕置きが必要かしら?」

「…仕方ないな。今日は大人しくしてるつもりだったけど…弾幕るか?」
魔理沙は立ち上がった

「あら?弾幕じゃないわよ。言ったでしょお仕置きだって」
アリスは魔理沙に向かって手を翳した。

「え?ちょ!アリスこれは反則…」
アリスは普段人形を操るための糸で魔理沙の両手を搦め捕った。

「お仕置きに反則も何もないわよ?」

アリスは魔理沙を近くの柱まで引っ張って行くと柱に両手を縛り付けた。

「えーっと…アリスさん?一体何を?」
魔理沙の頬を嫌な汗が伝う。

「うふふ、私好みに変えてあげる」

目が怖いですアリスさん。

「さぁ始めましょうか」

「ア…アリスそんなもの取り出して何をするつもりだ?」

「心配しなくても痛いことはしないわ。でも動いたりしたら責任は持てないけどね」

「わー!やめろー!アーリースー!」








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30分後

「うふふ、出来たわ。」

満足げな表情のアリス

「ううう…アリス…ひどいぜ」

魔理沙の手が解き放たれた

「うん。我ながら完璧な出来ね。魔理沙素敵よ?」

「こんな…こんなの私じゃないぜ…」

魔理沙が着ていた服は全く違う装いに変貌していた。

それは一言でいえば[ゴシックロリータ]のようにフリルやレースがたくさん着いた装い。

「よく似合ってるわよ」

「ううう…私の一張羅が…」

アリスは惚ける様な笑顔で見つめている

「アリスのばかー!」

言いながらアリス亭から飛び出した。
ちゃっかり本とお茶受けのクッキーを手にして。

「…ちょっとやりすぎたかな?まぁ服はいつでも元に戻せる仕立てにしてあるし明日にでも行ってやるか」






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当の魔理沙は…
自宅に向かう・・・のかと思いきや、博麗神社に向かった。

「霊夢!どうだこの服似合うか?」
なんだかんだで魔理沙自身それなりに気に入ったようだ。

その後しばらく幻想郷ではゴスロリ魔法使いが飛び回っていた

幻想郷はいっだって長閑で平和である



後書き
長閑で平和も良いじゃない。
刺激が欲しけりゃ、自分が変われば良いじゃない。


■戻ります!