霊夢のとある8刻
*キャラ崩れあり←
*俺設定あり
*ゆっくりしていってね!
*mixiで7回に分けて書いたものを統一した物です。
なので回毎に色々書き方とか変わってたりします^^;
「血が足りない…」
博霊の巫女が呟いた。
「れ…霊夢!!」
霊夢の横で座布団を枕にしてゴロゴロしていたレミリアが飛び起きた。
「ひゃ!何ようるさいわね!大声はやめて、心が乱れるから」
「大声だって出すわよ。だって霊夢が…霊夢が吸血衝動に目覚めたなんて!」
「はぁ?」
「まだ人間なのに目覚めるなんて流石だわ!私の嫁だけの事はあるわ」
「いやいや、言ってる意味が全く分からないんだけど?それに、あんたの所へ嫁に行く気はない」
「そんな…折角霊夢に吸血衝動が芽生えたのにまだ神社⇔紅魔館の遠距離恋愛なんて」
「うん、まぁ恋愛も否定しとくわ」
「私の事は遊びだったの!?」
「とりあえず落ち着け」
お札を一枚レミリアの額にべったりと貼付けた。
「落ち着いた」
額からプスプスと煙を上げるレミリアが座布団にちょこんと座った。
「何勘違いしてるのかしらないけど、血が足りないってのはね…最近貧血気味なのよ」
「貧血?なにそれ食料不足?」
「まぁあんたの所の解釈だとそうなるか」
「違うの?」
「違うわ。一種の体調不良よ」
「どうなるの?」
「目眩、冷え、立ちくらみ…その他色々弊害も出るわ」
「うーん、…つまり霊夢は今体調良くないんた?」
「…認めたく無いけどそういう事ね」
「ならば…今なら…今なら霊夢を簡単に手篭めにっ…!」
レミリアがかばっと霊夢に飛び掛かった。
ぺたぺたぺたぺた・・・さく!さく!さく!
「愛が痛いわ…」
「愛など無い!あんたに好き勝手される程体調悪いなら誰も入って来れ無いように結果張った部屋で大人しく寝てるわ」
「確かに元気そう…ね」
お札が四枚、針が三本程刺さったレミリアがゆっくり起き上がった。
「元気なうちに今日のおゆはんの材料でも買いだしに行こうかな」
「何作るの?」
「ん〜・・・鉄分の多いもの中心にしてみようかしらねぇ」
「血?」
「それはないから!つーか、人里に買い物に行くのに血なんて売ってる訳ないでしょう」
「里に行くんだ。私も行く行く。デートデート♪」
「いや、いやいや、あんたが人里に行くのは色々と拙いから勘弁して」
「え?何で?」
「吸血鬼が人の里ウロウロしてたら問題あるでしょう。それはもう山ほど」
「吸血鬼って分らなければ問題無しよ」
クルンと一回転すると、レミリアの自慢の翼や口元から覗いていた牙がスッと消えた。
「・・・あんた吸血鬼の誇りは何処行った訳?」
「霊夢とデート>(越えられない壁)>誇り」
「日本語でおk」
「霊夢こそ」
「ま−いいや、突っ込むのも疲れたから行きましょう」
「行こ行こ♪」
レミリアはウキウキと霊夢に駆け寄ると、右手に日傘を差し、空いた左手で霊夢の右手をきゅっと握った。
霊夢も特に気にするでもなくふわりと舞い上がり、里へと飛び立った。
/
人里に降り立つと、夕飯前の買い物客で賑わう市場へと向かう。
「うーん・・・何にしようかしら。あ、ほうれん草は良いって聞くわね。すいませんそのほうれん草1つ下さい」
「はいまいど!ありがとね!」
「人間て不思議よねー、そんな草食べて滋養になるなんて」
「こっちからすれば血なんて物で成り立ってるあんたの方がよっぽど不思議よ」
「あ、霊夢!あそこに良い生肝があるわ!」
「生肝かぁ、確かによく効きそうね・・・て、どこ?」
「ほら、これ」
タタタ・・・と数歩駆けると、行き交う人の中の一人の腕を取った。
「ん?何だいお嬢ちゃ・・・ん?」
「ほらほら霊夢、生肝〜♪」
「げ!お前らはいつぞやの!!」
「あら、これは良い生肝・・・じゃなくて妹紅じゃない」
「何でこんな所に巫女と吸k・・・むぐう!」
咄嗟に霊夢が妹紅の口を押さえた。
「そんな事この大通りで叫ばないの!パニックになるでしょ」
目を白黒させる妹紅だったが、霊夢の落ち着いた語り口に少しだけ冷静さを取り戻した。
「・・・いや、いやいや、驚くのが普通だろ?なんだいこの組み合わせは?」
「デートy「ただの夕飯の買い物よ」
「ん?何だって?」
「夕飯の買いm「デートよ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「どっち?」
「「買デい−物ト!」」
「・・・うん、聞き直した私が悪かった」
「霊夢がね、貧血気味だって言うから一緒に滋養分の高い物一緒に見てるの」
「ほー、で良い物は見つかったかい?」
「うん、生肝!」
妹紅をピシッと指差した。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「霊夢、このょぅι゛ょちゃんと教育しておく事をオススメする」
「教育は私の管轄外だからキニシナイ」
「霊夢、ょぅι゛ょって何?」
「いや、いやいや、さすがにこの状況だとおまえさんが保護者だろ」
「ねぇ霊夢、ょぅι゛ょって?」
「私のほうが圧倒的年下だからそうでもない」
「ねぇ霊夢ってばぁ・・・」
「こういう場合は精神年齢的にだな・・・」
「ょぅι゛ょって何って聞いてるの!!」
ざわ・・・ざわ・・・
大通りの中での大声に周囲から奇異の目が向けられる。
「・・・あー、とりあえず慧音の所にでも行こうか?」
「そ、そうね、お茶くらい出るでしょうし」
「だから!・・・むぐ!」
もう一度叫びそうな勢いのレミリアの口を霊夢が咄嗟に塞いだ。
「かわいい、って言う意味よ(嘘はついてない)」
「なぁんだそういう意味か。遠回りな言い方せずにかわいいって言えばいいのに」
無い胸を張ってふふんと自信満々に笑った。
/
慧音の家。
・・・の前。
3人は傍と立ち止まった。
家の中から話し声がする。
それは3人にとっても聞き覚えのある声だった。
「あー・・・落ち着くわぁ・・・」
「日頃休み無く働き続けているんだろ?ここに居るときは精々くつろいで行くと良い」
「そのつもりー」
「まぁその緩みきった顔見れば分る」
慧音はクスッっと笑うと、すでに半分以上なくなっていた湯飲みにお茶を注ぎ足した。
「この羊羹おいしー♪」
「大通りにある店の新商品だそうだ。気に入ったのなら是非買って行ってやってくれ」
「お嬢様羊羹なんて食べるかしら?」
「うまい物に和も洋もあるまい」
「それもそうねー」
また一口羊羹を放り込むと、熱いお茶をゆっくりと啜りこんだ。
慧音宅の裏手。格子窓から覗く目が六つ。
「あれ・・・誰・・・?」
「どう見てもお前さんの所の瀟洒なメイドだろ?」
「あんな緩みきった咲夜始めて見たわ」
慧音亭でくつろぐ咲夜の表情は、3人が未だかつて見たことが無いほどに緩みきっていった。
足を横に崩し、お茶を一口啜るたびに大きく息を吐き出し、目は完全に糸目になっている。
ちなみに分りやすく描くと・・・
こんな感じである。
「今レミリアが入って行ったらあいつどんな顔するのかな?」
妹紅が呟いた。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
湧き上がる悪戯心。
「よし、慧音は私が呼び出してくる」
妹紅は表に駆け出した。
トントン!
「慧音ー、居るかい?」
「何だ妹紅か?どうした?」
「ちょっと手を貸して欲しい事があるんだが・・・一緒に来てくれないか?」
「うむ分った。咲夜、ちょっと出てくる。ゆっくりしていてくれ」
「( ̄▽ ̄)ノシ」
「どうした妹紅?」
「・・・」
妹紅は口元に指を当て、静かにという合図を送った。
「?」
慧音はとりあえず黙って着いて行く事にした。
案内されたのは我が家の裏。
そこには見知った顔が2人。
レミリアが小声で話し出した。
「後は私が出て行くだけね?」
「ん?お前は・・・ちょ!おいおい!吸血鬼が人里で何をしている!?」
「良いんじゃない?霊夢って言う保護者もついているんだし」
「良くここまで人目に触れず来れたな?」
「翼も牙も消してきたからね。この通り見た目は普通の可愛いお姫様」
「それはそうと慧音、面白い物が見れそうだぜ?」
「一体何の話しだ?」
話の見えない慧音が問うた。
「今からレミリアがあの緩みきった咲夜の前に現れたらどんな顔するのかな・・・ってね」
妹紅が悪戯っぽく笑った。
「ちょっと待て!それは無粋って物だろう。咲夜は普段の激務から今やっとつかの間の休息を取っている所だぞ?」
「別に気を抜いているのを怒ろうって訳じゃないわ。休息も必要だろうし。ちょっとからかって見たいだけよ。
里に来る時にちょっとした寄り道や、自分へのご褒美に何か買ってるのを知らないわけじゃないし」
「ほほぅ、わがまま吸血鬼にしては寛大な精神だな?」
「夜の王ですもの!そのくらいの事でとやかく言うほど器は小さくないわ!」
無い胸を張って、自信満々に言う。
「余り大声出すと咲夜にばれるわよ?」
「大丈夫だよ霊夢、あの顔見てみなよ。完全に抜け切っちゃってるぜ?」
「さて、どんな反応するのか楽しみだわ。行ってくる」
レミリアが慧音宅の玄関に向かっていった。
/
ガラガラガラ・・・
「おかえりー」
「ただいま」
何食わぬ顔で入って来たレミリアはさっきまで慧音が座っていた座布団に腰を下ろした。
「ふー・・・たまには緑茶もいいわね」
置いてあった慧音の湯飲みを取り一口飲むとそう呟き咲夜のマネと言わんばかりに糸目になった。
「ぷ・・・くくく!」
「っ!!!!(ぷるぷるぷる・・・)」
「ひぃーははははは!レミリアのやつなかなかの役者だな!はははは!」
裏の格子の方から笑い声が三つ。
「・・・( ̄▽ ̄)」
「・・・( ̄▽ ̄)」
「・・・( ̄▽ ̄;)」
「ニコッ!( ̄▽ ̄)」
「・・・お嬢様?( ̄▽ ̄;;)」
「あ、この羊羹いけるわね。後で買って帰りましょう咲夜( ̄▽ ̄)」
_,y-r─y-r-,、
,-ゝ_,'-'─'-^イ,ヽ,
〈, -´ ヽノ、 ,ヘ ))
(( ,ヘ, ノ.イ!ヌハλ!'メ-ドゝゞ/ /
'、 '.、.7(y)i ○ ○ i(y)/ /
ヽ ヽ.(yル" "r-‐¬""(y) /
ヾ..[><]|ゝヽ、__,ノノ[><]/
.r r/.ヽロ/ ../ )
.弋___〈;;<∧>;;,__,ノ
弋:::::::::!
从;;;;;;;;;λ
./ `― ‐´ 、
./ ヽ、 ノ ト,
.<ァ、_ ノ::`:、
咲夜の時が勝手に止まった。・・・様な気がした。
「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ
ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」
「くっくっくっく・・・さて、余りやりすぎても可愛そうだ。
そろそろネタバラシに行ってやろう」
「そ・・・そうね(ぷるぷる)」
/
ガラガラガラ!
勢い良く引き戸を開け3人が踏み込んだ。
「よう咲夜、気分はどうだい?」
「おじょ・・・お嬢様・・・お嬢様がががが」
「おk、落ち着け」
まだわたわたとしている咲夜に冷たい水を差し出す。
「おk、落ち着いた」
「早いわね」
「時止めて30分悩んだけどね。説明お願い」
「ちょっとした悪戯」
糸目のままのレミリアが呟いた。
「・・・その顔気に入ったの?」
「とても( ̄▽ ̄)」
「さ、熱いお茶を入れなおしたぞ。皆こっちへ来い」
それぞれ湯飲みを手にし、上品な渋みをゆっくりと味わう。
「まず質問」
「どうしたレミリア?」
「咲夜は良く此処に来るのかしら?」
「そうだな、里に買い物に来て紅魔館の仕事に急ぎが無い時は顔を出してくれる」
「ふーん・・・」
「あの・・・お嬢様申し訳・・・」
「これからもよろしく頼む。咲夜が気を抜ける所なんて数箇所しかないからな」
「え?よろしいのですか?」
「ダメって言われたいの?」
「あ、いえそう言うわけでは」
「ま、知らなかった訳でもないしそんな事くらいで怒る夜の王じゃないわよ」
無い胸を張りふふんと笑った
「さすがですお嬢様・・・」
「ん〜、コホン。さて今度は霊夢とレミリアに質問だ」
慧音が切り出した。
「何なりと」
「なぜ珍しい組み合わせの2人がここに?」
「デートy「ただの夕飯の買い物」
「ん?何だって?」
「夕飯の買いm「デートよ!」
「・・・」
「・・・」
「・・・」
「どっち?」
「「買デい−物ト!」」
「・・・うん、聞き直した私が悪かった」
「それさっき同じ事私がやったから」
妹紅が吹き出した。
「まー単純に言うとだな、霊夢がどうも貧血気味らしくてね、今日はそれに効きそうな物買いに来たんだとさ」
「で、なぜ吸血鬼がついてくる事に?」
「それは本人に聞いてくれ。どうなんだ霊夢?」
「レミリアが来たいって言ったからよ。この通りばれない配慮もしてるし問題ないでしょ?」
「問題さえ起こさなければ特に言うことは無い。それで、貧血は酷いのか?」
「特に気にする事の程でもないけれど、眩暈や立ちくらみはたまに・・・ね」
「むむ、それは良くないぞ。いいか霊夢常日頃からバランスの良い食事と規則正しい生活をだな・・・」
「まーまー慧音、今からそれをしようと霊夢は買い物に来てるんじゃないか。
それよりほら、そろそろ時間もアレだからそのバランスの良い食事ってのを実際にだな・・・」
「おっと、口がうまいな妹紅は。仕方ない言った手前今日は私が用意しよう」
「あら良いの?悪いわね」
言葉とは裏腹に満面の笑みの霊夢。
「レミリアと咲夜はどうする?豪勢な晩餐とは行かないが、私でよければ腕を振るわせてもらうよ?」
「折角の誘いだ、頂いて行こう」
「あ、でも私ほうれん草買っちゃった」
「どれ、ついでに御浸しにでもしてやろう」
霊夢からほうれん草を受け取った。
「さて、少々時間も掛かるだろうかお前達はゆっくりしていてくれ」
「手伝うわ、じっとしてるのは性に合わないもの」
咲夜が立ち上がった。
/
「できたぞー、そちらに運ぶから机の上を片してくれ」
「はいはーい」
立ち上がり机の上の物に手を出した瞬間…
ふらっ…
「霊夢!」
横に居たレミリアが体を支えた。
「おい!大丈夫か!?」
「…あ、ああ大丈夫よ。少し立ちくらみしただけ…」
「それは大丈夫とは言わないわ、少し横になれば?」
咲夜が肩貸そうとしたが、霊夢は手で遮った。
「ん、もう平気。ごめんね、ご飯頂きましょう。食べれば治るわ」
「そうか、ならしっかり食べてくれ。今日は人数も多いから鍋にしたぞ」
勢い良く湯気の立ち上る大きな土鍋をよいせっ!と机に下ろした。
「ほれ、お箸と碗だ。レミリアにはフォークの方が良いか?」
「バカにしないで、お箸くらい使って見せるわ」
「そうか、では食べよう」
「「「「いただきまーす!」」」」
しかし咲夜がスッと後ろに下がった。
「どうした咲夜?」
「あ、いえ、私はお嬢様の後で・・・」
「お前は何を言っている?鍋など全員で食べるものだろう」
「咲夜」
レミリアは咲夜に自分の隣に戻るように指差した。
「よろしいのですか?」
「今日の夕餉の主は慧音だ。その慧音が皆で食べると言ったのだが?」
「はい、失礼しました」
咲夜はレミリアの横の座布団に戻った。
「ふふ、まぁ遠慮せず食べてくれ。ではもう一度」
「「「「「いただきまーす!」」」」」
「んむ!うまーい!味噌味の鍋良いね!」
「妹紅、お褒めは嬉しいが食べるか話すかどっちかにしてくれ」
「これは紅魔館(うち)には無い味ね。咲夜覚えた?」
「はい。一緒に調理しましたので、もう再現可能かと」
「あー・・・これは温まるし、しみじみと美味しいわぁ」
「霊夢良かったらこれも使ってみるか?」
「これはなぁに?」
緑色の物と白色の物が詰まった小瓶を差し出した
「緑色の方は良く知ってる柚子胡椒だ、もう一つは・・・」
「む!珍しい物の予感!」
レミリアが物珍しさから横から白い物の詰まった瓶を掠め取った。
「どれどれ、まずはこの私が味見を「レミリアやめろそれは!!」
ペロ・・・
,. -───-- 、_
rー-、,.'" `ヽ、.
_」::::::i _ゝへ__rへ__ ノ__ `l
く::::::::::`i / ゝ-'‐' ̄ ̄`ヽ、_ト-、__rイ、
\::::::::ゝイ/__,,!ヘ ハ ト,_ `ヽ7ヽ___> え?
r'´ ィ"レ'ノ‐! ヽ ! レ ヽ-ト、ハ〉、_ソ
ヽ/ ハ .-@ @-。/| ハ
ハ !" ▽ "/ / |〈
ノ| レ>.、. _,,..ィ / ハ ヽへ
ハレヘ!-'"7-!-rく|/レ'ヽハヘノ \
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/ 'ー,L__§____'r'-イ
| | ,.L_________」 |
ヽ/⌒| / ! ノ ト、へ/⌒
パタン!
レミリアがそのまま後ろに倒れこんだ。
「おおおおおおおおお嬢様!!!」
「あーあ、だから止めろと・・・」
「おいおい慧音、もしや物騒なものじゃあるまいよね?」
「レミリアにとっては物騒な物だよ・・・」
「慧音!お嬢様に何を!!」
「それニンニクだよ。無臭ニンニク。里の者が効能はそのままであの臭いだけ消せたと自信満々で分けてくれたんだ」
「な!ニンニク!?そんな物をお嬢様に!?」
「まてまて!今レミリアが静止も聞かず勝手に食べたのだろうが」
「おーいレミリア、大丈夫?」
霊夢がツンツンとほっぺたをつついた。
「むきゅ〜・・・」
「それはあんたの友人のセリフ」
「ぐむむむむむ・・・もうだめ・・・でも・・・でも・・・霊夢がキスしてくれたら・・・良くなるかも・・・」
「随分余裕じゃない?」
「・・・あ゛〜〜、死ぬかと思った。私以外の吸血鬼なら消滅しててもおかしくないわ」
幸い量も少量で、直ぐに吐き出したため大事には至らなかった。
「食事中に意地汚い事をすると天罰が下る良い例だ」
慧音がふふっと微笑んだ。
/
「「「「「ご馳走様でした!」」」」」
締めに雑炊をして、汁も残さず大きな土鍋の中はすっかり空っぽになった。
慧音は満足そうにそれを見つめると、よいせ!っと大鍋を抱えて水場へと降りた。
咲夜が何も言わす慧音について来た。
「構わんよ、咲夜はレミリアについててやれ」
レミリアは先にニンニクを口にしてから暑い暑いと言いながら大汗をかいていた。
人間にも血圧上昇や発刊の作用があるが、ニンニクが弱点である吸血鬼には効果が顕著に出るのだろうか。
特に知った所で徳にもならない知識だが、慧音は洗い物をしながらそんな事を考えていた。
「あ、妹紅ー!みんなの分お茶を用意してくれ」
「あいよー」
しばらくして慧音は洗い物を終え、皆とちゃぶ台を囲んだ。
「はいよ、丁度お茶が入ったよ」
「おお、ご苦労様」
皆にお茶を配るとあることに気がついた。
「あ、自分の分入れ忘れた」
「おいおい、しっかりしろよ」
慧音が苦笑する。
場の空気が和やかになった。
「買い物のつもりがすっかり遅くなっちゃたわねぇ」
「もう泊まって行け。こんな夜遅くにさっきみたいに貧血でも起こしたらそれこそ大変だ」
「いやもう大丈夫だけどね」
「ダメだ。明日日が昇ったらゆっくり帰るといい」
「そこまで言ってくれるなら甘えるわ」
「じゃ、私たちも泊まりましょう」
「おいおい、お前達もか?さすがに布団が足りないぞ」
「で・・・では、私とお嬢様は同じ布団で「霊夢と一緒に寝るから問題なし!」
「・・・しくしく」
「ええ!あんたと一緒?」
「お嬢様と一緒なんて・・・妬ましい!妬ましいわ!」
「いや、いやいや、咲夜あんたそう言うキャラじゃないから」
「ぷ!くくく!じゃあ慧音私たちも一緒に寝るかい?」
「おまえと一緒じゃ狭い上に、天下一品の寝相の悪さに付き合うのは勘弁だ」
「ちぇ・・・」
慧音が手際よくさっさと布団を並べて行く。
「なんでそんなに離して置くのよ?もっとこう引っ付けて・・・」
レミリアが布団の配置に口を出すと、ずるずると引っ張り固めて配置された。
「これで良し!」
「ずいぶんと寄り固まるんだな」
「さ、霊夢わたし達は此処よ。ポンポンと布団を叩いた」
「はいはい」
布団に入る前にそれぞれが身に付けていた物を外す。
リボンだったりヘッドドレスやエプロンだったり帽子だったりと様々だが。
「慧音も寝るときはその帽子(?)外すんだ」
「当たり前だろう。付けたままだとおちおち寝返りも打てないぞ」
身軽になるとそれぞれ布団へと潜り込んだ。
「灯落とすぞ」
ふっと室内が闇に包まれた。
「んふっふふっふ、霊夢〜」
「そう来ると思った」
肌着の中に忍ばせておいたお札を一枚ペタり。
プスプスプス・・・
「ううう布団が冷たい・・・霊夢が妬ましい・・・」
暗闇で見えないが、聞こえてくる声や音に慧音と妹紅がクスッと笑った。
「霊夢、今日は夜の王のこの私が守ってあげるからぐっすり寝なさい」
「あら頼もしい」
「ははは、別にレミリアだけじゃないぞ。いざとなったらここにいる全員で守ってやるさ」
慧音も口を挟んだ。
霊夢は今日一日のことを思い出し、少しだけ考えた。
博麗霊夢。
幻想郷の境界を守護する者。
常日頃誰に対しても対等であり公平。そして妖怪とは相容れない者。
それが私。
でもそんな私にも暖かく手助けしてくれる仲間がいる。
私からは手助けは求めないが、それでも皆私を包んでくれる。
私は幻想郷を守っているのではなく、本当は守られているのかもね。
今、素直にそう思えた。
「貧血ごときでちょっと気弱になっちゃったかな・・・?」
「何か言った?」
「今日はとことん甘えちゃおっかな・・・」
「ん?」
「じゃ、今日は何も気にしないで思いっきり寝るから・・・しっかり守ってね」
「任せときなさい!」
「っと、咲夜あんたもこっちに来なさい」
レミリアが咲夜を引き寄せた。
「きゃ!お嬢様?」
「あんたも今日はゆっくり寝なさい」
「え?」
「いつもご苦労様。今日は何も考えずぐっすり寝なさい」
「・・・はい」
咲夜はそっと身を寄せた。
レミリアがそっと咲夜の髪を撫でた。
「おー、今日のわがままお嬢様はいつになく優しいんだな」
妹紅がからかう様に言う。
「そうそう、妹紅一つ聞くけどー」
レミリアが問う。
「お?何だい?」
「あんたと慧音って凄く仲いいけどー」
「うん」
「・・・デキてるの?」
「ブフォ!」
盛大に吹いた。
「ちょ、慧音何か言っやってくれ」
「・・・グー、・・・グー」
「慧音?・・・・・・・・・絶対寝たフリだ」
「グー・・・、グー・・・(汗」
「どうなの?どうなの?」
目を爛々と輝かせ問い詰めようとした。
「こら!今日はゆっくり寝かしてくれるんでしょ?静かに!」
霊夢のツッコミ一閃。
程無くして静かな寝息だけが暗闇に響いた。
/
翌朝
「慧音ありがとう、そろそろ帰るわ」
「うむ、十分気をつけてな」
「じゃ色々ありがとう、皆またね」
手を振るとふわりと舞って行った。
「じゃ咲夜私達も帰りましょう。羊羹買ってからね」
「はい」
「慧音、今度は妹紅と一緒に紅魔館を尋ねてこい。今日の礼はする」
「ははは、気が向いたらな」
「ではまたな」
レミリアは背を向け、咲夜はもう一度深く頭を下げると大通りに消えていった。
「さて、私はぐうたら娘でも起こしますか・・・」
家に戻るとまだ寝息を立てる妹紅の掛け布団を引っぺがした。
博麗神社
「ただいまーっと」
帰ってくると玄関に見覚えのある靴が並んでいた。
「あいつらまた勝手に・・・」
部屋にはいると空いた酒瓶が机に山積みになり、
魔理沙、萃香、紫が雑魚寝していた。
「こ・・・こいつら・・・」
とりあえず懐からお札を取り出し、ぺた、ぺた、ぺた。
お一人様1枚の大サービス。
片付けようにも一度に手に負える量ではない酒瓶を数本手に持ち、台所へと持ってくる。
「ん?」
台所に見覚えの無い物が幾つか置かれていた。
中には、茸、山菜、川魚等が入っていた。
恐らくあの三人の差し入れだろう。
中にはメモも挟んであった。
霊夢へ
この後こいつらと呑み始める。
知らない間に寝てるだろうから、忘れないうちに置いておく。
最近顔色が優れないようだったからな、私から栄養価の高い茸のプレゼントだ。
ありがたく食べてくれ。
山菜は紫だ。とはいっても取ってきたのは藍だろうけどな。
魚は萃香が取ってきたらしい。ウナギくらい用意しろってもんだけどな。
追伸:もし寝てたら大目に見てくれ
「あら残念、これ読む前にお札貼っちゃった」
お札を貼られてもなお寝続ける3人に目を遣る。
「・・・ありがとう」
裏口から表に出る。
心地よい太陽の光が霊夢を出迎えた。
「さーって、今日も幻想郷(みんな)のため頑張るか」
〜了〜
後書き
ほのぼの〜。
少々気弱な霊夢もありだと思うんだ←
■戻ります!■